04 2月 BMW E60M5のSMGオーバーホール
茶谷です。
僕の仕事はSMGのオーバーホール屋か?っていうぐらい一年中SMGのオーバーホールをやっています。
ちなみにSMGユニットはミッション本体とは別物でユニットがあって油圧とソレノイドでミッション本体のクラッチとシフトを操作しているものです。
ということで今日はSMGオーバーホールの内容を紹介していきます。
まずはミッションを下ろす前に診断機で簡易的に不具合箇所を調べます。
その後ミッションを下ろし、不具合箇所をしっかり調べながらSMGユニットを外し、バラバラにしていきます。
原因はいろいろあります。ざっくり言えば油圧抜けと金属摩耗と素材の劣化です。
バラしていくとSMGユニットの内部に鉄粉がすごく溜まっているし
ポンプのギヤーなんてモーターとつながっている部分が削れて変形しています。
この写真はまだマシな方。
シフトポジションセンサーの配線なんか大体の車両がショートしかけか、しているのでコンピュータはまともな信号を出してくれません。
この部品達は全部洗浄してソレノイドは全部単体で動作確認。Oリングやポンプ内のゴムとギヤーも新品、ホースの繋ぎ目などのパッキンは全て新品部品に交換していきます。
ちなみにポンプギヤーは全部の車両が軸摩耗しているのに新品部品が出ないのでチェックショップではオリジナルで製作。
1/100の精度できっちり作らないとユニット内の油圧が理想の圧まで届かないので製作にはかなり苦労しました。
ポジションセンサーは新品が出ないので配線を引き直しです。
ポンプモーターやレリーズシリンダーなども新品に交換です。あと新品が出るネジも新品交換します。
再利用するネジはきっちり綺麗にして、ポンプやソレノイド、ユニット固定やホース接続など全てのネジを規定トルクで締めてユニット側は終わりです。
ミッション本体もレリーズまわりのパーツ達を新品に交換しミッションオイルも交換。もちろんドレンパッキンは新品。
次は車両側。
フライホイール裏を洗浄後にクランクシール、フライホイール、クラッチを新品に交換し、ミッション下のオイルに侵食される配線達も引き直し。
次は自作したテスト配線を車両とつなげてSMGユニットにオイルを入れて診断機を使いながらテスト。
油圧のかかる速度やポンプの音、シフトチェンジの様子など診断機と目と耳でチェックしていきます。
ちなみに、これ注意して車両に搭載している状態を忠実に再現しないと壊れます。
全てが正しく機能しいれば車に搭載して終了です。
あと僕は神経質?なのでアンダーパネルのネジも正しいものを正しい位置にこっそり付け替えています。
ミッション降ろしで外すアンダーパネルのネジの種類は6種類。
デタラメな車がほとんど。
これでSMGオーバーホールの完了です。
料金は部品代と作業工賃で800,000円+taxです。
作業日数は順調に行けば約10日。
ちなみにミッションのシンクロがダメになっている場合もあるので
その際は別途料金が発生します。